ペルソナ―三島由紀夫伝 |猪瀬 直樹
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ペルソナ―三島由紀夫伝
猪瀬 直樹
小学館 刊
発売日 2001-11
価格:¥1,470(税込)
日本の近代からみる三島由紀夫という存在 2002-11-16
この作品は、三島由紀夫の単なる評伝ではなく、「日本の近代と官僚制」がテーマになっている。なぜなら三島の祖父・平岡定太郎は樺太庁長官を務め、父・梓は元農林省水産局長、三島本人もその血を受け継ぎ大蔵省に9ヶ月だけ籍を置いた、三代にわたる高級官僚の家系を通して近代を解き明かそうとしているからである。著作集のタイトルが「日本の近代」となっているが、それにふさわしく、明治からの約100年間を、平岡家三代を軸にしてミクロの近代日本を、原敬や岸信介を登場させてマクロの近代日本を、それぞれ鮮明に映し出している。
三島は「官僚たちが設計してきて、これからも設計しつづけるだろう終わりなき日常性」つまり近代日本、特に戦後日本を憎み、それに「一気に零を掛けることの出来る切!?!!?」としての天皇を『金閣寺』から『絹と明察』に間に発見したが、その青年時代には官僚だった祖父のコネで紙を調達して処女作を強引に出版し、また昭和二十八年、『潮騒』を書くときにはやはり元農林省水産局長たる父・梓の力に頼って物語の舞台となる「歌島」を探したという矛盾を抱えていたことが浮かび上がってくる。
天才とうたわれた三島であるが、著者は、昭和19年に19歳の三島が『花ざかりの森』の処女出版に異常な執着を燃やしたことや、凡庸な日常性という悪を打ち破ろうとして書いた『鏡子の家』が理解されなかったことの苦悩など三島の隠そうとした事実に細心緻密な調査と努力によって迫り、新たな三島増を構築している。
単なる作家論でもなく、学術書でもなく、細部はすべて事実から成り立っ!?!!?いるのに、これまでのあまたの三島論と顔色ならしめる傑作である。
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この記事は2006/7/21に作成しました。
